[Jira Service Management] Insightのご紹介

※本記事は、Charlotte Nicolaouによる英語記事「An Introduction to Insight」を翻訳したものです。内容に相違が見受けられる場合、英文ページの内容を正とします。

こんにちは、InsightのプロダクトマーケティングチームのCharlotteと申します。私たちは先日アトラシアンに加わりました。この記事では、Insightとは何か、および、Insightの仕組みをご紹介します。この記事は、Insightの使用方法について実践的なアドバイスを提供するシリーズの第一弾になります。

すでにInsightをご利用の場合はこれらのコンセプトをすでにご存知かと思います。ヒントやアドバイスがありましたらぜひコメントにお寄せください。

 

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、InsightはアトラシアンのプラチナソリューションパートナーであるRiadaの一部でした。Insightは2019年にRiadaのコンサルティング部門から分離し、Mindvilleになりました。そして2020年の7月に、Mindvilleはアトラシアンに加わりました。

Insightは、JiraユーザーがJira内でアセットを保管して管理できるようにする需要を受けて生まれました。アセットだけでなく、アセット間の関係性も保存できます。この情報は、リクエスト、インシデント、IT、人事などのさまざまなJira課題にコンテキストを提供するのに便利です。

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Insightは提供開始からの数年間で機能を拡張し、完全なエンタープライズITサービス管理システム、施設管理、魚の追跡 (残念ながらこのアプリケーションの詳細については質問しそびれました) などのあらゆる種類のアプリケーションで使われています。

この投稿では、Insightの基本的なコンセプトをご紹介させていただければと思います。それでは始めましょう。

Insightとは

私たちはInsightを構成およびアセット管理のためのツールと呼んでいます。堅苦しい言葉を避けたい場合は、あらゆる情報のためのデータベースと見なすこともできます。Insightの中核は、CMDB/アセットの保管庫などになります。CMDBには良い印象をお持ちではない方もいらっしゃるかもしれませんが、Insightは「いわゆるCMDB」とは大きく異なり、弊社のユーザーの多くは純粋にアセット管理のためにInsightを利用しています。Insightの美しさはここ、つまり、要件に合わせて何でも行える柔軟性と、要件に合わせてスケールできる点にあります。

CMDBに追加したすべてのオブジェクトが、Jiraの課題フォームに追加されたカスタムフィールドから利用できるようになります。たとえばインシデントが発生した場合、報告者はドロップダウンメニューから影響を受けているビジネスサービスを選択できます。これにより、担当者はJira課題内で影響を受けているサービスのすべての詳細情報 (依存先、責任者など) を確認できます。課題を素早くクローズするのに役立つ主要なコンテキスト情報が提供されます。

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 オブジェクトにリンクされたすべての課題がその後文書化されるため、アセット履歴を作成して、関連するビジネス判断を行ったり、カスタマーエクスペリエンスを改善したりすることができます。たとえば、1つのサービスで他のサービスよりもはるかに多くのインシデントが発生している場合、そこで改善が必要なことがわかります。あるいは、特定のソフトウェアでたくさんのユーザーリクエストが発生している場合、ナレッジベース記事の作成が必要であると判断できます。

Insightの他の要素には、自動化、レポート、インポーター、連携機能がありますが、ここではCMDBの仕組みに焦点を当てます。Insightのデータ階層には3つのレベルがあります。

データ階層のレベル1 - オブジェクトスキーマ

Insight内では複数のCMDBを作成できます。これらはオブジェクトスキーマとして知られます。これには次のようなさまざまなメリットがあります。

  • データを小規模な単位にブレイクダウンすることは、所有権の明示やデータの正確さを保つのに役立ちます。

  • 各オブジェクトスキーマに独自の権限を設定して、機密データを安全に保てます。

Insight自体 (およびJiraの拡張機能) では、各オブジェクトスキーマに格納される情報がどのようなものであるかは考慮されません。これらは単純にデータの1つの大きなプールであると見なされます。つまり、1つのユースケースに複数のオブジェクトスキーマを簡単に利用できます。

これを活用できる例として、人事チームがあります。人事チームが1つの “新入社員のオンボーディング“ のJira課題で、新入社員用にCMDBからノートPCとモバイル端末を選択し、トレーニングコースを割り当てたいとします。従来のCMDBシステムの多くでは、ノートPCを含むITチーム用のCMDBに人事チームを追加し、人事チーム用のトレーニングの管理に必要なデータを追加する必要がありました。これは全員にとって理想的なユースケースであるとは言えません。

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Insightでは、2つのオブジェクトスキーマを持つことができます。 1つには、人事チームを対象としたトレーニングコースなどの、人事チーム固有のデータを含めます。もう片方にはハードウェア情報を含めます。人事チームは自身のオブジェクトスキーマを完全に制御できるほか、人事データからノートPCデータへのリンクを作成できます。この方法だと、ITチームへの影響はなく、人事チームがITチームに提供するための情報の収集で混乱することもなく、各チームは自身のデータを独立して管理でき、非常にユーザーフレンドリーであると言えます。

Insightへのデータの登録方法を考慮するには、データを管理可能な単位に分割する方法を必ず検討するようにします。 

データ階層のレベル2 - オブジェクトタイプ

次のレベルは、スキーマ内に存在するオブジェクトタイプです。これらはご自身で定義することも、カスタマイズ可能な特定のオブジェクトタイプを含むオブジェクトスキーマテンプレート (クラウド版では未提供) を使うこともできます。Insightは非常にオープンなので、オブジェクトタイプは自由に (魚の例のように) 定義できます。

よくあるオブジェクトタイプには、ビジネスサービス、サーバー、ノートPC、ソフトウェアなどがあります。ただし、ITアセットである必要はありません。Insightはただの情報ストアであるため、ビジネスをより良く理解するために把握する必要がある、あらゆる情報を追加できます。たとえば、多くのお客様が、ベンダー、所在地、従業員、ビジネスにおける優先度などをオブジェクトタイプとして追加しています。これらを把握しておくと便利であり、他のオブジェクトへのリンクも行えるためです。Insightの最適な利用方法は、企業ごとに異なります。

オブジェクトタイプは階層ツリーの形式で整理できます。このツリーは主にナビゲーションや可読性のためであり、空のオブジェクトタイプを持つことができますが (例: 次の例のハードウェア)、属性の継承関係を表すために利用することもできます。

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次に属性をご紹介します。属性は、個々のオブジェクトタイプを定義します。各オブジェクトタイプには一連の一意の属性が含まれます。たとえば “ノートPC“ オブジェクトタイプには、モデル、シリアル番号、ユーザー、保証の有効期限などの属性が含まれるかもしれません。

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すべてのオブジェクトタイプに、”Name”、”Key”、”Created Date”、”Last Updated Date” の4つのデフォルト属性が含まれます (後半の3つは自動的に設定されます)。他のすべての属性は管理者が定義します。一意のkey属性があるため、各オブジェクトの名前が一意である必要はありません。これは、Insight内でインベントリ管理を行っていて、同じ名前を持つものが20個あるような場合に便利です。

属性は、テキスト、日付、数値、URL (他の情報ストアや保証契約へのリンクに最適)、Jiraユーザー (オブジェクトの所有権の設定に最適)、ステータスを含む、さまざまなデータタイプを持つことができます。

最後にご紹介したい属性として、次の動画で確認できるようなオブジェクト属性タイプがあります。これは他のオブジェクトにリンクし、異なるオブジェクト間で依存関係のマップを構築するのに役立ちます。

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オブジェクトタイプは慎重に検討することをおすすめします。次のようなことが推奨されます。

  1. 複数のオブジェクトタイプで繰り返し使用される属性がある場合、それを独自のオブジェクトタイプにすることをおすすめします。これにより、管理が簡単になります。

  2. 定義するオブジェクトやオブジェクトに持たせる属性は慎重に考えるようにします。CMDBの失敗の大きな理由の1つとして、含めるデータの量が多すぎて正確性を保つことができなくなることがあります。CMDBの運用に成功するユーザーは、不要なデータと必要なデータの判断に注力しています。

データ階層のレベル3 - オブジェクト

オブジェクトはデータの最終レベルであり、ユーザーの実際のアセットになります。これらをJira課題にリンクして、課題が作成されたときにエージェントがすぐに状況を予測できるようにすることができます。ノートPCの詳細情報についてエージェントと顧客との間で何度もやり取りをする必要がなくなったり、ある顧客がリクエスト対象のソフトウェアへのアクセス権を持つべきかどうかを即座に判断したりすることができます。また、特定のビジネスサービスに関連する各課題は、エージェント/顧客による対外向けの言葉やドキュメントよりも説得力を持つ場合が多いため、ビジネスサービスについての報告にも役立ちます。

特定のオブジェクトを定義する属性値を入力したら、クリック1つでオブジェクトがInsightに登録されます。関係性を表す属性については、他のオブジェクトをリンクする特定のオブジェクトを選択します。たとえば、オブジェクトタイプが “所在地” である場合、各オブジェクトは支社の所在地になるかもしれません。このようなときに、各ノートPCで “横浜”、”品川”、”京都” などを選択して、所在地を素早く設定できます。

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オブジェクト間の参照には2つのメリットがあります。

  1. 目立たないが便利なメリット - 管理が簡単です。たとえばある支社が京都から大阪に移転した場合、各ノートPCにアクセスして情報を京都から大阪に変えるのではなく、京都オブジェクトを更新するだけで済みます。

  2. わかりやすいメリット: オブジェクト間の依存関係をマッピングできます。たとえば、ビジネスサービスと、それが依存するさまざまなホスト、OS、およびファイルをマッピングできます。このマップは、変更による下流への影響の理解 (このOSを変更した場合に影響を受ける可能性のあるものはあるか?) や、インシデントや問題の原因を探すのに非常に便利です。また、各オブジェクトはJira課題にリンクできるため、長期的にはインフラストラクチャや他のビジネスアセットの包括的な履歴を構築し、将来的な問題の解決をさらに支援することができます。

Insightにオブジェクトを取り込む方法

最後に、Insightにデータを取り込む方法について簡単にご紹介します。大規模な組織の場合、すべてを手動で入力するのは多大な労力になります。いくつかのツールを利用していただけます。

Insight Discovery
ネットワークアセットを取得する、エージェントレスのスキャナです (エージェントバージョンも提供されています)。Insightに取り込むオブジェクトや属性を判断し、独自のスキャンパターンを作成して詳細情報を取得できます。定期的に実行することで、変更を取得し、データを最新に保つことができます。自動化ルールと組み合わせることで、検知した変更に基づいて、Jira課題やメール通知などをトリガーすることもできます。

インポーター
情報の保管にスプレッドシートを利用しているお客様も多くいらっしゃるかと思います。InsightのインポーターではCSVおよびJSONファイルをInsightに取り込めます。管理者はこれらの情報を新規または既存のオブジェクトスキーマにどのようにマッピングするかを判断できます。

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連携機能
これらはInsightを、クラウドサービス (Azure、Google、AWS)、他のCMDBツール (ServiceNow、Device42)、および他のさまざまなサードパーティツールと連携します。これらはInsight Cloudでは提供されていませんが、Cloudにおいても将来的に連携することを検討しています。

このようにさまざまなツールをご用意していますが、お持ちのデータすべてをInsightに取り込むことはおすすめしません。ここが運用の困難さのポイントになるため、Insightに取り込むデータの判断方法については別途投稿を行うことを予定しています。運用の開始後は定期的に見直しを行い、オブジェクトスキーマを長期的に成長させることができます。

すべてを取り込んでしまうと、特にインフラストラクチャがこれまで以上に素早く変化している現代において、最新の状態に保つことはほとんど不可能です。データの最新化に自動化ルールを活用することもできますが、こちらについても別の投稿でご説明します。

Insightの仕組みを確認したところで、Insightに含めるべきデータの詳細をご確認ください。

Insightを利用して、インフラストラクチャの依存関係を可視化し、インシデントのトラブルシューティングを素早く行い、変更による下流への影響を最小化する方法について、今後もお知らせしていきます。ご質問をお持ちの場合はコメントを投稿してください。Insightを体験してみたい場合はJira Service Managementの無料トライアルをご利用ください。

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