※本記事は、Charlotte Nicolaouによる英語記事「Is there a template for Insight Cloud?」を翻訳したものです。内容に相違が見受けられる場合、英文ページの内容を正とします。
こんにちは。
InsightがJira Service ManagementのPremiumおよびEnterpriseプランの一部としてリリースされるようになってから、表題の質問をとても多くいただきます。
Jira Service ManagementではInsight用の事前作成済みのテンプレートは提供されていませんが、弊社ではこの機能を含めることを検討しています。
現時点でご案内できることとして、このコミュニティ記事でアセットおよび構成管理のセットアップ例をご紹介させていただければと思います。利用できるオブジェクトや属性の種類をご確認いただけるため、お客様のセットアップの開始時にお役立ていただけるかと思います。
なお、これはあくまでも提案の1つです。オブジェクトスキーマ、オブジェクトタイプ、および属性は、お客様の組織に合わせて調整することを強くおすすめします。企業の要件はそれぞれで異なるため、含めるべき情報を弊社側で厳密に特定することはできません。
この記事では、Insightの構造についての知識をお持ちであることを前提としています。Insightを利用するのが初めての場合、次のリソースでInsightの構造をご確認ください。
それでは早速セットアップ例をご紹介していきます。このデモの目的は構造をお見せすることであるため、ご紹介するスキーマによっては格納されているデータが少ない可能性がある点をご了承ください。
データは複数のオブジェクトスキーマに分割することをおすすめします。これにより、データのメンテンスや、そのデータが最新であることを定期的に確認する従業員の定義を簡単に行えるようになります。
この例では、4つのオブジェクトスキーマがあり、それぞれに独自のオブジェクトタイプが割り当てられています。
Insight Discovery スキーマ - 企業のサービスを実行しているITインフラストラクチャについての情報を格納します。オブジェクトのほとんどがInsight Discoveryネットワークスキャナを使用して収集されています。
Services (サービス) スキーマ - Jira Service Managementのサービスと同期され、ユーザーが、サービスとそれらを支える基盤となるインフラストラクチャとをリンクできるようにします。
企業情報スキーマ - 企業のオフィス、従業員、業者などの情報を格納します。
従業員のITアセットスキーマ - 従業員に貸与されたハードウェアの情報を格納します。
それではそれぞれのスキーマを順に見ていきましょう。
このスキーマには、追跡対象にしたい物理ハードウェアのアセットを含めています。それだけでなく、組織でサポートされ、ハードウェアリクエストカタログで提供されるハードウェアモデルを格納するオブジェクトタイプも用意しています。従業員は、Jira Service Managementのリクエストを通じて新しいハードウェアを依頼するときに、サポート対象のハードウェアのオブジェクトタイプから選択することができます。
この例では、サポート対象のモデルにサポート対象のマウスとキーボードも含め、従業員がそれらをリクエストできるようにしています。ただし、実際のマウスやキーボードは、追跡が要求されるほど高価なものではないため、追跡対象ではありません。
このスキーマを拡張して、従業員が使用/リクエストしたいソフトウェアや、それらのライセンスを含めることもできます。
注: “ハードウェア” および “サポート対象のハードウェアモデル” オブジェクトタイプは、単なるプレースホルダーです。これらにオブジェクトは追加されておらず、人間がスキーマを簡単にナビゲートできるように用意されています。
2つのオブジェクトタイプを詳しく見ていきます。
ここでは、”ノートPC” オブジェクトタイプの属性を確認できます。
まず、ステータスに着目します。これによってノートPCを購入から除却まで追跡できます。次に、所有者とモデルの、2つのオブジェクト参照属性があります。”所有者” 属性は、”ノートPC” オブジェクトと別のオブジェクト (この例では “従業員” オブジェクト) との間に参照関係を作ります。”従業員” は “企業情報” オブジェクトスキーマ内に存在する別のオブジェクトタイプであり、こちらについては後ほどご説明します。
モデル属性は、同じ “従業員のITアセット” スキーマ内の “サポート対象のノートPC” オブジェクトタイプにリンクしています。特定のノートPCについてメモリや画面サイズなどを確認したい場合、このリンクされた “サポート対象のノートPC” オブジェクトをクリックするだけで行なえます。所有しているそれぞれのノートPCのスペックをリスト化するような必要はありません。
こちらは、“サポート対象のノートPC” オブジェクトタイプの属性です。このオブジェクトをハードウェアカタログとして使えるよう、”提供中”、”近日提供”、”過去に提供” のステータスが用意されています。この “ステータス” 属性が意味するところは、ユーザーがハードウェアをリクエストできるよう、このオブジェクトタイプにInsight用のカスタムフィールドをリンクしたときに、フィルターにより、その時点でサポート対象のハードウェアのみが表示されるようにすることができます。このときに、今後提供予定のハードウェアや過去に提供していたものの記録を保持することも同時に実現できます。
また、このオブジェクトタイプには、”企業情報“ スキーマの “IT業者” オブジェクトタイプにリンクする、”メーカー” 属性が含まれています。”従業員のITアセット” スキーマ内に “業者” オブジェクトタイプを用意することもできますが、業者情報は他のスキーマでも要求される可能性があるため、この例ではすべての業者を1つのスキーマに中央化するようにしています。
また、実際のノートPCオブジェクトに戻って [オブジェクトグラフ] をクリックすると、次のようなビューを確認できます。ノートPCと技術的な詳細情報、所在地、および所有者についての情報が表示されます。このグラフは、他のオブジェクトにリンクする、参照された属性に基づいて生成されます。このようなグラフはあらゆるオブジェクトやオブジェクトタイプについて表示できるため、さまざまなレベルで関係性を確認できます。
このスキーマは、他のオブジェクトスキーマに関連する可能性のある企業情報を中央でまとめるように設計されています。たとえば、従業員を “従業員のITアセットスキーマ” のオブジェクト (例: ノートPCとモバイル端末) の所有者に設定したり、Insight Discoveryスキーマ内のオブジェクト (例: ホストやアプリケーション) の所有者に設定したりすることができます。
注: 他のオブジェクトスキーマがこのスキーマを参照できるようにするには、オブジェクトスキーマ > [設定] > [一般] で [このスキーマからオブジェクトを選択することを他のユーザーに許可] を選択する必要があります。
それではオブジェクトタイプや属性を見ていきましょう。
“所在地” は、オフィスや他の重要な拠点を記録できる、非常にシンプルなオブジェクトタイプです。これらを従業員やハードウェアにリンクすることができます。
施設管理のために拠点のモデリングを行うことに関心をお持ちの場合、Derek Fieldsによるコミュニティ記事の一覧をお読みいただくことをおすすめします。
“従業員” は、多くの個人属性を持つ、もう少し実体のあるものになります。多くの組織がこのような情報の多くを監視するための独自のツールをすでに持っているため、これらの大半は不要かもしれません。
機密性のある情報については、オブジェクトタイプ > [設定] > [ロール] に移動して、特定のオブジェクトタイプに権限を設定できます。
“従業員“ オブジェクトタイプはその従業員のJiraユーザーにリンクされています。Jiraユーザーを従業員のオブジェクトタイプにリンクすることで、Jiraユーザーからハードウェアに関連するリクエストが起票されたときに、自動化を通じ、”Jiraユーザー” 属性に基づいて対象のユーザーのInsightエントリを見つけ、ユーザーが所有するすべてのオブジェクトを確認して、関連するものをJira課題に取り込むことができます。
従業員情報には、別の “従業員“ オブジェクトにリンクする “上長” 属性もあります。このフィールドを自動承認に利用できます。たとえば、従業員であるCharlotteが何かをリクエストしたときに、自動化を利用してInsight内でCharlotteの上長を見つけ、上長のJiraユーザー名を特定し、そのJiraユーザーを承認者とリクエストの割り当て先に設定することで、課題の手動転送と比べて時間を大幅に削減できます。
これを実現する別の方法として、それぞれの “従業員” オブジェクトに1つの “チーム“ (独自のオブジェクトタイプ) を割り当て、そのチームで割り当てられたマネージャーが、リンクされたすべての従業員の承認者になるようにすることもできます。
最後に、”従業員” オブジェクトタイプには、他のオブジェクトタイプである “部門“ と “職位“ にリンクする、”部門” および “職位“ 属性があります。これらはオブジェクトスキーマを拡張するときにさまざまなユースケースで利用できます。
例として次のようなものが考えられます。
“部門” または “職位” オブジェクトを “サポート対象のノートPC“ オブジェクトタイプにリンクし、対象のノートPCをリクエストできる部門/職位を表すことができます。たとえば、開発チームには営業チームよりも画面サイズやRAMが大きいノートPCを割り当てるのが理に適う場合があります。Insightのカスタムフィールドにより、リクエストフォームでリクエスト者の部門/職位に応じて別のノートPCを表示するように構成することができます。
これらをオブジェクトタイプとしうて持つことで、リクエスト者の部門や職位に基づいた報告を行えます。たとえば、従業員あたりのサービスリクエスト数を確認したときに、財務チームよりもマーケティングチームからのほうが問い合わせが多い場合、知識のギャップが存在する可能性が考えられます。また、特定の部門から特定のソフトウェアについてのリクエストがたくさん来ている場合、その部門の従業員が対象のソフトウェアを最初から使えるように、ソフトウェアをノートPCのイメージに追加できるかもしれません。
業者専用のオブジェクトスキーマのセクションもあります。これは “IT業者” オブジェクトタイプの例です。
異なる種類の業者用に異なるオブジェクトタイプを用意していますが、1つの “業者” オブジェクトタイプを用意し、その内部の属性で業者の種類を示すこともできます。社内の要件に合わせて、自由に構造化することができます。なお、業者を分類する方法は用意しておくことをおすすめします。
“IT業者“ オブジェクトタイプには、”契約” オブジェクトタイプを参照する “契約” 属性があります。
注: “IT業者“ オブジェクトタイプの “契約“ 属性は、複数の値を許可するように構成されています。これは、属性の横にある歯車 > [設定] > [カーディナリティ] を選択することで設定できます。
この “契約“ オブジェクトタイプは、実際の契約を確認できる外部の場所にリンクするために使われています。
これまでと同様に、これを業者のオブジェクトにURL属性タイプとして追加することもできます。ここでは、複数の値を設定できる属性の例としてお見せしました。
これは最大のオブジェクトスキーマであり、基盤のインフラストラクチャについての詳細情報を保管するために使われます。この情報の大半はInsight Discoveryを使用して取り込まれています。Insight Discoveryはネットワークをスキャンし、関連情報やさまざまなオブジェクト間のリンクをオブジェクトスキーマに登録します。
ここではこのオブジェクトスキーマの各オブジェクトタイプの説明はせず、いくつかを取り上げてご紹介させていただきます。Insight Discoveryが検出するオブジェクトタイプと属性の一覧についてはこちらをご確認ください。
次のような例があります。
File system (ファイルシステム)
Virtual guest (仮想ゲスト)
Host (ホスト)
また、Insight Discoveryオブジェクトスキーマの ”Metadata” 見出しの下に、いくつかのオブジェクトタイプを追加しています。
これらのオブジェクトタイプにより、インフラストラクチャやアプリケーションを、環境 (ステージング、本番環境、テスト)、重要性 (例: 1-4)、およびカテゴリ (財務、マーケティング、コミュニケーションなど) にリンクすることができます。
これらを独自のオブジェクトタイプとして持つメリットとして、ビジネスにおける重要性のレベルや特定のカテゴリの名前を変更するときになったときに作業が1か所で済むことが挙げられます。たとえば “ビジネスにおける重要性” をオブジェクトタイプ内でテキスト属性として持っていた場合、名前変更のために何千ものオブジェクトにアクセスしなければならなくなる可能性があります。
この例のリンクは不要なお客様もいるかもしれませんが、アセットや構成アイテムを詳細に理解するために、任意のリンクをセットアップしていただけます。
最後に、Servicesオブジェクトスキーマについて簡単にご説明します。このスキーマは読み取り専用で、Jira Service Managementにサービスとして登録した内容に基づいて自動的に生成されます。
ここでの意図は、インフラストラクチャのオブジェクトをそれらがサポートしているサービスにリンクできるようにすることで、変更リスクの分析や、インシデント/問題の解決を行いやすくすることにあります。次の画面では、BillingサービスがBillingアプリケーションにリンクされ、それはソフトウェアと基盤インフラストラクチャに依存していることがわかります。
Insightデータベースの構成方法の例を簡単にご説明させていただきました。これは一例に過ぎないため、ご紹介した属性やオブジェクトタイプがお客様の要件に合わない場合は自由にスキップしていただいてかまいません。この記事がお客様の開始点のお役に立ちましたら幸いです。
ご質問をお持ちの場合や、データの構造化方法について別の提案をお持ちの場合は、自由にコメントしてください。
Ai Hirama
Technical Support Manager
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