月曜の朝、チームのボードを開くと何も表示されません。ボードの設定は誰も変えていません。変わったのは 1 つだけです。2 週間前に削除の手続きをした退職者のアカウントが、週末に完全に削除されました。
退職者のアカウントを定期的に削除するのは良い習慣です。問題は削除そのものではありません。Jira の中に、まだその人を指しているものが残っていることです。
まず、誰がライセンスを使っているかを確認する
Jira のライセンスは、使っているかどうかではなく、アクセスできるかどうかで数えられます。一度もログインしていない人も請求の対象です。
- 一覧を出す: アトラシアンの管理で [ディレクトリ] > [ユーザー] を開き、画面上部の [•••] > [ユーザーをエクスポート] を選びます。[グループ メンバーシップ] と [アプリ アクセス] を選ぶと、所属グループと、アクセスできるアプリとロールも CSV に入ります。
- 最後に使った日を見る: CSV の「(アプリ名) - (ワークスペース名) への最終アクセス」列を見ます。その人が最後に Jira を 2 秒以上表示した日です。
- ライセンスを与えるグループを見る: [アプリ] > [Atlassian アプリ] で Jira の [アプリの管理] を開くと、Jira へのアクセス権を与えているグループが並びます。2 つのグループに入っている人は、両方から外すまでライセンスが残ります。
ライセンスを空けるだけなら、アカウントの削除までは必要ありません。アクセスを一時停止するか、管理対象アカウントを無効化した時点で、その人への請求は止まります。
それでも、セキュリティの方針で退職者のアカウントを後から削除する会社もあります。その前に確認したいのが、次の 7 つです。ここでいう削除は、管理対象アカウントの [アカウントを削除] のことです。
無効化と削除で起きる 7 つのこと
1. ボードが急に空になる
共有フィルターはそのまま動きます。ただし、その人の非公開フィルターを使うボードは止まります。ダッシュボードはゴミ箱に移ります(60 日以内なら管理者が復元できます)。
削除する前に: [設定] > [システム] > [共有項目] の [フィルター] と [ダッシュボード] でその人のものを探し、[所有者を変更] を選びます。
2. 自動化ルールが止まる
その人として実行されるルールは失敗します。しかも、無効化された人は [Transfer user](ユーザーの転送)で見つけられなくなります(AUTO-1878)。
無効化する前に: [設定] > [システム] > [Global automation](グローバル自動化)を開き、右上の [•••] > [Transfer user] を選びます。
3. スペースで作業項目を作れなくなる
その人がスペース所有者で、デフォルト担当者が「スペース所有者」になっていると、無効化した時点で新しい作業項目を作成できなくなります。デフォルト担当者に設定できるのは「未割り当て」か「スペース所有者」だけです。
無効化する前に: [スペース設定] > [詳細] の [スペース所有者] で、残る人を選びます。
4. 作成画面でエラーが出る
選べるユーザーを制限しているユーザー フィールド([ユーザーフィルタリングを編集] で設定)で、その人がデフォルト値になっていると、作業項目を作成できません。これも無効化した時点で起きます。英語の画面では "One or more of the selected users do not exist or are not valid for this user picker." と表示されます。
無効化する前に: [設定] > [作業項目] > [フィールド] で対象フィールドの [その他のアクション](•••)> [コンテキストとデフォルト値] を開き、[デフォルト値を編集] で変更します。
5. フィルター サブスクリプションが届かなくなる
その人が作ったサブスクリプションは動かなくなります。管理者からは見えず、移すこともできません。
削除する前に: 残る人に、同じサブスクリプションを作り直してもらいます。
6. 未完了の作業項目の担当者が「旧ユーザー」になる
削除する前に: assignee in inactiveUsers() で探して、未完了のものは担当者を変更します。
7. 名前が消える
削除が完了すると、その人は Jira のどこでも「旧ユーザー」と表示されます。監査ログでも同じです。
削除する前に: 名前とアカウント ID を記録しておきます。
安全な順番: 引き継ぎ → 無効化 → 削除

- 引き継ぐ: その人が所有しているものを移します。自動化ルールは、アカウントがまだ有効なうちに、最初に移します。
- 無効化する: 請求が止まります。見落としに気づいたら、再有効化して元に戻せます。
- 削除する: アカウントは 14 日間、無効化された状態で保持されてから削除されます。この期間は短縮できませんが、その間なら削除をキャンセルできます。
どのアプリにもできないこと
アトラシアンは、Marketplace アプリが自動化ルールとフィルター サブスクリプションを変更する手段を用意していません。どのアプリを使っても、この 2 つは手作業になります。ルールは無効化の前に移し、サブスクリプションは残る人に作り直してもらいましょう。
Seatwise でできること
開示: この節で紹介する Seatwise は、私が開発・提供しているアプリです。
Seatwise は、この確認と引き継ぎのために作りました。
- ライセンスの費用がかかっているのに Jira で作業していない人と、その人にライセンスを与えているグループがわかります。ここでいう作業は、作業項目の作成、編集、移動、コメント、作業時間の記録で、Jira を見るだけでは含まれません。
- 退職者ごとに、まだ所有しているものを一覧にして、新しい所有者にまとめて引き継ぎます。フィルター(非公開のものも)、ダッシュボード、スペース リーダー(スペース所有者)、コンポーネント リーダー、ユーザー フィールドの既定値、未完了の作業項目です。作業項目 1 件ごとにメールが送られることはありません。
- ほかの人が使うものが残っていなければ「削除できます」と表示されます。削除の前に [記録をダウンロード] で、名前とアカウント ID を保存できます。

引き継ぎが終わると「削除できます」と表示されます。サンプルデータ
アプリで変更できないものは [対応が必要] に並びます。権限スキーム、承認待ちのリクエスト、その人を検索条件に入れたほかの人のフィルターなどです。各行に Jira での対応方法が書いてあります。

アプリで変更できないものは、Jira での対応方法と一緒に表示されます。簡略化した表示、サンプルデータ
Seatwise がアカウントを無効化したり削除したりすることはありません。
コピーして使えるチェックリスト
☐ ユーザーをエクスポートし、ライセンスを与えるグループを確認した
☐ 自動化ルールを移した(無効化の前に)
☐ フィルターとダッシュボードの所有者を変えた
☐ スペース所有者とコンポーネント リーダーを変えた
☐ ユーザー フィールドのデフォルト値を変えた
☐ 未完了の作業項目の担当者を変更した
☐ フィルター サブスクリプションを残る人が作り直した
☐ 名前とアカウント ID を記録した
☐ 無効化してから削除した
参考資料