アナログとデジタルの共存が鍵 ー『シン・エヴァ』のリモート制作を支えたなめらかDXとは? (2021年9月30日開催) のQ&A

2021年9月30日に開催されたアトラシアン主催のWebセミナー「アナログとデジタルの共存が鍵 ー『シン・エヴァ』のリモート制作を支えたなめらかDXとは?」でいただいた質問とそれらへのご回答をご案内させていただきます。

 

質問

回答

1

オンプレ版のハードウェアはどんなものでしょうか。

一般的なWeb公開に耐えうる1Uサーバーを利用しておりました。

2

今後はまたCloud版に移行、またはData Center版に移行される予定ですか?

カラー・スタジオQともに現状の予定はありません(クラウド版を継続利用中)。

3

ページの量が多いと、目的のページを探したり見つけるまでに時間がかかったり、見つけることができずに似たようなページが大量に作られてしまうような問題はあるでしょうか?また、ある場合にはどのように対処していますか?

(スタジオQ様)
上位レイヤーであるスペース構造レベルで工夫することで、情報が重複しない/重複してもすぐに気付けるようにしています。似たページがたくさんあってお困りのようでしたらスペース設計を変えてみることもよいかもしれません。

(カラー様)
具体的な例として、スペースをプロジェクトと組織 (作品)で分けています。組織の中でプロジェクトについて語るようなことは基本的にないようにしていているので、スペース間の重複はそれで防げます。
プロジェクト内 (スペース内) で重複がある場合、それはナレッジであると捉えて共通ノウハウとして書き出し、元のページからそこにリンクを貼って参照するような運用のクセをつけています。

4

複数名がドキュメント作成するにあたり、同じ内容が別ページに渡って記録されてしまうこともあるかと思います。その精査のための点検作業は行っておりますでしょうか。その作業における工夫があれば、教えていただきたいです。

同上
5

Tipsやノウハウなど、同じような内容のページが乱発されているという課題を持っているのですが、そのような状況ってありましたか。
あるいは回避するためのルールなどはありましたか?

同上
6

関係会社、社外との情報共有などもされていますか?

関連会社や制作委託先へは、アカウントを個別に発行して権限を設定して運用しております。

7

Cloud版に戻して、ADのセキュリティグループでスペースやページへの権限管理されていた部分は、現在はどのように管理されていますか?

同様にグループ管理を行っております。

8

膨大なファイル量となると、目的のファイルにたどり着くのが難しくなるなと想像しました。目的の情報にたどりつくための工夫はUIもしくは検索でやってらっしゃいましたか?

検索する (コンテンツを探す) 側よりも検索される側 (コンテンツを作る側) が、インデックスを作ることに慣れていたこともあり、意図した検索で表示されるように工夫する、社内SEOのような取り組みが自然と生まれていました。具体的には、ディレクトリ構造の整理や、コンテンツが検索結果に表示されるように誤字脱字をなくすことなどが挙げられます。

9

膨大なページの中で目的のページにたどり着くためにページ作成時やConfluence内の構成などで工夫されていることや規約等はありますでしょうか?

同上

10

情報が更新されずに古いまま残って陳腐化してしまう問題はありますか?鮮度を保つような工夫や取り組みがもしあったら知りたいです。よろしくおねがいします。

頭では大事と思っていてもなかなかできないことは、個々人でその大切さを理解して努めてやるしかないのかなと思います。また、誰かが書いたものを勝手に変えたり捨てたりしてもいい文化 (編集をローカロリーで行える文化) を醸成し、そのうえで情報の棚卸しを行うような日を作るとよいです。ツールを入れて終わりではなく個々人のマインドセットを変えていくことが必要かと思います。

11

Cloud版はどのプランを利用されていますか?

Standardプランを利用しています(スタジオQ様)

同じくStandardプランを利用しております(カラー様)

12

ドキュメント作成は時にコストだったりするのでモチベーションが上がりづらいことがあるように思っていますが、ドキュメント作成するぞ!という雰囲気を醸成するための工夫などはあったりしますか?

少しマイナスな表現になりますが、書かないと大変なことになるのを理解してもらうことが必要かなと思います。たとえば、属人的な案件をアウトプットせずに一人で抱えこんでいたときに問題が発生し、対処に苦労するようなことが考えられます。

13

ドキュメントを書く人によって文体や書式のブレといったものが生じると思いますが、定期的に何かしら調整・揃えるといったことをしていたりするのでしょうか?

気づいたら皆で修正し合ってます(それがコラボレーションツールのいいところですね)

14

コンフルエンスでナレッジを残すことになじまないアーティストや従業員に対してどのような誘い水を用意しましたか?

基本的に皆さん必要があれば記載してくれます。

15

そもそもナレッジとして残すことになじまないナレッジ(exタバコスペースの雑談ベースのアイディアや直接机に行って打ち合わせた内容など)があるかと思いますがそこはスラックと使い分けをしていた感じですか

Confluenceはドキュメンテーションの利用に決めており、雑談等や技術共有はSlackで行っておりました。

16

ナレッジを蓄積する製品は多々あると思いますが、Confluenceの一番の利点・特徴は何だと思われますか?

比較的直観的なビジュアルエディターを搭載しているため、初心者でもあまりハードルなくきれいなドキュメントが書けるところです。

17

ページの作成は全員が自由に書いている(かける権限があり、割と積極的に書いている)のでしょうか?それとも、特定の人が書き、他の人は見るだけ、のような状態でしょうか?良質な記事を増やすのと、みんなが積極的にナレッジを残しシェアするのが相反する感じがしていてよく悩んでいます。

スタジオQでは全員が書く権限を持っていますが、全員が積極的にドキュメントを書いているというわけではありません。また、仰るようなトレードオフは確かにあるとは思いますが、書かないと書けるようにはならないのでレビューなどをしながらサポートするしかありません。

18

ありがとうございました。
ドキュメントを書く文化を根付かせるとありましたが、具体的にどのように根付かせましたか?
実際にして効果があったものなどがあれば教えていただけないでしょうか。

やはり定期的に「書こう!」と言い続けるルーチンを組むことに尽きるかと。

19

貴重なお話ありがとうございました。
低リテラシーのメンバやドキュメント作成に不慣れなメンバへのconfluenceの導入・習得および資料更新の意識付け等によく苦労しています。
新メンバ向けのページも用意しているのですが、他に何か工夫されていることなどがありましたらご教授頂けますと幸いです。

社内ポータルをConfluenceに集約し、「見なければ社内の情報が得られない、仕事が成立しない」ぐらいアグレッシブにしてみては如何でしょうか。

20

タスク管理としてのJIRAを一緒に導入しなかった理由は何でしょうか?

カンバン方式としてUI/UXがシンプルなTrelloが社内のユーザーニーズに合っていました。

21

「社内SNSなどには書かれているけどコンフルに書かれない」といった問題はなかったのでしょうか?
もしあった場合、その問題に対してどのような対処をしたかを教えていただけないでしょうか。

社内SNSがありません(コミュニケーションはSlack、ドキュメントはConfluenceとして成立しております)

22

bitbucketを使用するのはテクニカルのツール開発のみですか?カット制作など大容量のファイルの管理には使用していますか?

スタジオQでは主にツール開発でBitbucketを利用しています。カット制作の一部工程で使うことはありますが、いわゆる「カット管理」としての運用はしていません

23

ページ数が非常に多いなと思ったのですが、検索で知りたいページにたどり着けないというようなことはなかったでしょうか。
そうならないための工夫などはあったのでしょうか

機能組織分割デザインのため、複数組織による内容重複が発生することはあまりありません。複数の案件にまたがるノウハウ(特にエンジニアリング)も担当組織が積極的に記載するため重複がありません。組織と持たせる機能のデザインが重要かと思います。

24

質問ではないですが、自分はドキュメントを書くのを習慣にする理由として、忙しい事が続くと自身の記憶が失われていくので未来の自分のために書いています。

素晴らしいと思います!!そういったマインドの方が職場にいると心強いです!

25

メンバーにノウハウのドキュメントを書いてもらう場合に、フォーマットを揃えないとぐちゃぐちゃになるし、整えすぎると書くのが面倒になると思いますが、そのあたりの匙加減はいかがでしょうか?

シンプルなフォーマットのページがサイト全体に存在しており、ユーザーはそれに便乗するだけ (近いジャンルのページのコピー) で済むようになっています。

26

カラー様に質問です.再びシン・エヴァ規模のプロジェクトが動く際には,再度オンプレミスに戻すことを考えているでしょうか?スペック以外にクラウドの問題などはあるでしょうか?

クラウド版のパフォーマンスが現状のまま問題なければすべてのプロジェクトをクラウド版で対応したいと思います。

27

実務者一同がコンフルを活用していても、上司がなかなかコンフルを見てくれず、「あれどうなった」「あれどこにある」と担当者に聞いてくることが減りません。このような状況を打開できる術があれば教えてください。

率直に申し上げれば、実務者のフローだけを効率化するという割り切りが必要な場合もあります。
とは言え、上司の方がコンフルを読まない理由があるはずなので、まずはヒアリングから始めたいです。直接聞くのが難しければ仮説を立てて取り組むしかありません。この手の問題は特効薬があるわけではなく、その上司の方が抱えている個人的な理由と向き合わなくてはなりません。

28

導入当時のお話をお聞きしたいです。Wikiを使っていたが、利用されなかったという状態があったと話されていましたが、社内的な承認を得ることに難しさは感じなかったですか?

ドキュメント管理の重要性は経営陣が理解してくれいたため、投資対効果をロジカルにプレゼンすることによって承認は問題なく得られました。

29

アプリ開発だとCD、CIがありますが、CGアニメ開発だとレンダリングの管理や完了通知など どのように開発管理されているのでしょうか。

Slack等のチャットツールの連携でうまく通知を行うこを今後推進していく予定です。

30

コンフルで映像の資料を載せる際に容量制限が厳しいと思いますが、どのように整理しているでしょうか?

エヴァ制作中においては、動画データ自体は社内のファイルサーバーへアップし、そのディレクトリのパスをコンフルへ記述することでコンフルの容量の節約をしています。

31

テキストだけではなく、画像や動画をConfluenceにアップすることも多いと思いますが、容量などの面で制約を感じることはありますか?

スタジオQでは、作品データそのものはGoogleドライブやファイルサーバに置き、Confluenceにはリンクだけを貼るという運用にしています。そのため、データ容量の制限を感じることなく利用しています。

32

社内SEOについて深堀りさせてください。個々人でインデックスを工夫する以外で、例えば社内統一ルールの例があればそれだったり、コンフルの機能で解決する部分などはありますか?(初号機ひとつとっても時間、作品や、種類、バージョンなど多岐にわたると思うので)

ルールは存在しておりません。セミナー中でもお話しましたが、ページ制作者がテキスト情報を多く持たせてくれる志向のため、暗黙の形でSEOが成立していると考えます。

33

Excelなどの表計算ソフトとの相性はどうでしょうか。アドオンで解決されているのでしょうか。

スタジオQでは一部の社員がExcelを利用することはありますが、全員が利用しているわけではありません。簡単な表はConfluenceの標準機能を利用しており、複雑なものはGoogleスプレッドシートを使っています。また埋め込む際などはGoogleドライブのアドオンを利用しています。

34

成果物や中間物等の実データを参照させたい場合は、ファイルサーバのリンクを貼るくらいでいいのでしょうか?

そうですね。別QAでもありましたが、データサイズが大きいため、インフラコスト的にはリンクを貼る形としております。

Webセミナーは引き続きオンデマンドで配信しております。こちらよりご登録のうえ、是非ご覧ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

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